「いる」「いらない」で判断できない人へ
片付けをするとき、
まず多くの人が取り入れているのが
「これはいる?いらない?」という
問いかけです。
けれども、
実際にその問いを自分に向けてみても、
「どうしても決めきれない」
「手が止まってしまう」といった
経験をしたことはありませんか?
実はこの「判断できない」という状態、
決してあなたの意志が
弱いわけではありません。

むしろ、
心が豊かで、モノとの関係性を
大切にしている証拠でもあるのです。
なぜなら、
人はモノに対して
“感情”を強く抱いているからです。
たとえば、
思い出が詰まったモノ
大切な人から贈られたモノ
自分ががんばって手に入れたモノなど。
このように、
単なる「使う・使わない」だけの
基準では割り切れないモノが、
私たちの暮らしの中には
たくさんあります。
だからこそ、
頭だけで片付けようとすると、
苦しくなってしまうのです。
そんなときは、「五感」で
判断してみよう
そこでおすすめしたいのが、
“感情”と深くつながっている
「五感」でモノを判断する方法です。
「五感」とは、
視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚のことですが、
片付けにおいては主に
視覚・触覚・嗅覚がポイントになります。
たとえば、
次のような問いかけをしてみてください。
【視覚の例え】
そのモノ、目に入るたびに心がホッとしますか?
それとも、
「なんとなく落ち着かない」
「気分がモヤモヤする」と感じますか?
インテリアショップで
見つけた雑貨を手に取ったとき、
「これ、部屋に置いたら
気分が上がりそう!」と思えるかどうか。
見た瞬間の“ときめき”や“安心感”は、
モノの存在価値を教えてくれます。
【触覚の例え】
そのモノを手に取ったとき、
ぬくもりや安心感を感じますか?
それとも、
「なんか触り心地が悪い」
「ゴワゴワして手触りが悪い」と思いますか?
たとえば、
お気に入りのクッションやブランケット。
手に触れるだけで癒されたり、
「ずっと触っていたい」と思える感覚ってありますよね。
モノも同じように、
触ったときの“心地よさ”が、
今のあなたに必要かどうかを
教えてくれます。
【嗅覚の例え】
そのモノのにおいをかいだとき、
懐かしさや安心感がありますか?
それとも、「なんとなく重い感じがする」
「古くさくて嫌な感じ」がしますか?
たとえば、
お気に入りの洋服から
ほのかに香る柔軟剤の香りには、
心を和ませる力がありますし
反対に、カビ臭かったり、
湿気やホコリのにおいが強いモノは、
もうあなたの暮らしには
合わないサインかもしれません。
このように問いかけることで、
頭ではなく“心”や“感情”に
直接アクセスすることができます。
つまり、
「使っていないけど、
見ると気分が上がる」と感じるモノは、
今のあなたにとって
必要なモノかもしれません。
反対に、
「なんだか見るとモヤモヤする」
「手に取ると気分が沈む」と
感じるモノは、
あなたの生活から卒業するタイミングが
来ている可能性もあるのです。
感情を無視すると、
片付けは続かない
「片付け=論理的に進めるもの」と思いがちですが、
実はそれだけでは長続きしません。
なぜなら、
「いる・いらない」という
判断軸だけでは、
どうしても頭で考えすぎてしまうからです。
その結果、
決断に時間がかかり、
「やっぱりやめよう…」と
途中で手を止めてしまうことも
よくあります。
そして、
「どうせ私には片付けは無理なんだ」と
自己否定のループに陥る人も
少なくありません。
しかし、
感情を大切にしながら
進める片付けなら、
もっとラクに、
自然と行動できるようになります。
「これは好き」
「これは気持ちがいい」
「これは安心できる」
そんな感覚で選んだモノたちに
囲まれると、
空間そのものが自分らしく、
心地よいものへと変わっていくのです。
~まとめ~
片付けの判断軸は
「感情」でもいい
片付けが苦手だと感じている人ほど、
「いる・いらない」の白黒ではなく、
感情のグラデーションを
大切にしてみてください。
判断に迷ったときこそ、
五感で感じてみること。
たとえば、
「このモノを見たとき、私はどう感じる?」
「手に取った瞬間、なんだか安心する?」
「それとも落ち着かない?」
そんな問いを重ねていけば、
少しずつですが、
自分自身の“今”に合ったモノが
見えてくるようになります。
そして、
最後にもう一つ自分に
聞いてみてください。
「このモノ、私の気分を上げてくれる?」です。
片付けは、
単なる整理整頓ではなく、
自分の気持ちと向き合う時間でもあります。
五感を頼りに、
少しずつでもいいから、
自分にとって心地よい空間を育てていきましょう。
